その時だった。
「何やってんの。」
どこかで、そう言う声がした。
「あ?誰だお前。」
奈津子は恐る恐る目を開いた。
その時、奈津子は声の主とばっちりと目が合う。
輝く銀髪、吸い込まれそうな美しい瞳、綺麗な顔。
「あ。お前、俺のクラスの奴じゃん。」
小野寺薫は奈津子を見てそう言った。
「た…すけて…」
奈津子はかすれる声で呟いた。
藁にもすがる思いだった。
目の前の転校生がこの状況で奈津子を救えるだなんて微塵たりとも思わなかったが、この時はただ助けて欲しい一心だった。
「良かったなぁ、味方が1人居て。」
男女集団のうちの1人が、そう言って鼻で笑った。
「まとめて殺っちまうぞ!」
そう言って襲撃してくる男たちに、奈津子はぎゅっと目を瞑った。

