嘘つきなポーカー 1【完】



奈津子は必死で逃げた。

きっと今捕まれば殺されてしまうと思ったからだ。

だがその時、奈津子の足が絡まり、奈津子は地面に倒れ込んだ。

奈津子は急いで立ち上がろうとしたが、転んだ時に足を捻ってしまったらしく、痛みで足が言うことを聞かない。


「みーつけた。」


奈津子が顔を上げると、そこにはニヤリと笑いながら奈津子を見下ろす、複数の男女の姿があった。


終わった―――…。


奈津子はこの時、そう思った。

自分は殺されるのだと、本気でそう思ったのだ。


目の前の少年少女たちは、じりじりと奈津子のもとに歩み寄ると、口を開いた。


「死ぬ前に一言どうぞ。」


狂ったようにケタケタと笑いながらそう言う男に、奈津子は震える声で呟いた。


「ごめんなさ……っ」


言い終わらないうちに、奈津子は思い切り腹に蹴りを入れられ、地面に倒れ込んだ。


「俺たちに逆らうからいけないんだよ〜!」