放課後、2つ年上の派手な女の先輩が、奈津子のもとに来て言った。
「奈津子、今日雅人さんのところ行くー?」
「はい、行きます。」
雅人とは、この地域で有名な不良グループのトップ2だ。
奈津子は中学に入ってから、不良グループと関わることが多くなった。
厳しく制約も多い孤児院が嫌になり、親が居ないことに対するコンプレックスも相まって、奈津子は数ヶ月前に施設を飛び出し、学校の先輩が紹介してくれた場所に転がり込んだ。
そこでは、奈津子と同じく家を飛び出した少年少女が共同生活をしていた。
そこに住む者たちは皆、いわゆる不良少女と不良少年たちだった。
そこに住む先輩から、奈津子はこの地域で有名な不良グループ「黒虎」のトップ2である雅人を紹介してもらったのだ。

