教室の中が一瞬静かになった。
「えー、今日は転校生が来ています。」
そして、担任に促されて教室に入って来た1人の少年を見て、クラス中がざわつき始めた。
「アメリカから転校してきた、小野寺薫くんです。皆、仲良くするように。」
そう紹介された教卓の隣に立つ少年は、軽く頭を下げた。
彼の髪はどういうわけか派手な銀髪で、そして噂通り、とても綺麗な顔立ちをしていた。
無論、女子からは熱い視線が送られている。
小野寺薫と呼ばれたその少年は、先生に促されて奈津子の斜め前の席に腰掛けた。
薫が席についた途端、周りの女子たちが目をキラキラさせながら薫に話し掛ける。
「小野寺くんって、生粋の日本人なのー?」
「何で銀髪なの?」
「彼女いるのー?」
「英語ペラペラなの?」
女子たちからの質問攻撃を、薫は気怠そうにあしらっている。
奈津子がそんな様子を見ていると、ふとこちらを見た薫と目が合う。
奈津子はすぐに、ふんとそっぽを向いて目を逸らした。
皆から注目浴びて、何なのあいつ――…。
皆から関心を寄せられる彼を、奈津子は少し憎く思った。

