―――…。
今日は何だか学校内がやたら騒がしい。
何でも、アメリカから信じられないほど格好いいルックスの男子が転校してくると言うのだ。
「あー、うるせぇ!」
奈津子の隣で、和也がそう言って頭を抱えた。
「そもそもアメリカ人がこの中学に一体何の用があるってんだよ。なぁ、奈津子?」
「…興味ない。」
奈津子は冷たく答えた。
「そうだそうだ!」と得意気に言う和也を横目に、奈津子はため息をつきながら机の上に置かれた紙を睨みつけた。
『あなたのご両親へ、感謝の手紙を書きましょう。』
奈津子は、課題として昨日出されたその紙を破り捨ててしまいたい衝動に駆られていた。
親に捨てられ、施設で育ってきた奈津子にとって、それは屈辱でしかなかった。
その時、始業のチャイムと共に、担任が教室に入ってきた。

