「一緒に年越さない?」
「え?」
奈津子の口から発された一言は、由佳の予想の斜め上を行くもので、由佳は思わず聞き返してしまった。
「年末に暇してるの、あんたぐらいかなって思って。ほら、皆家族と過ごすでしょ?」
奈津子の言葉に、由佳は納得する。
奈津子には家族が居ないのだ。
年末も1人で過ごすしかないのだろう。
「いいよ。うち来る?」
由佳がそう言うと、奈津子は嬉しそうに「うん。」と言った。
由佳は奈津子に家の場所を教えると、電話を切った。
その間、由佳は奈津子とどんな話をしようか考えていた。
この前の薫との件は触れないほうが良いのだろうか、と由佳は考えを巡らせていた。

