嘘つきなポーカー 1【完】



その時、由佳の携帯が鳴った。


由佳がディスプレイを覗くと、そこには「奈津子」の文字が表示されていた。

由佳は一瞬、電話に出ることを躊躇ってしまう。

クリスマスイブの一件以来、何だか気まずくて、由佳は奈津子に連絡を取っていなかった。

そして同様に、奈津子からも連絡がなかったのだ。

由佳は暫く考えたが、奈津子からの電話に出た。


「もしもし。」

「もしもし、由佳?久しぶり。」

「久しぶり。」


受話器の向こうの奈津子は、いつもと変わらない様子で、由佳は少し安心する。


「それで、ちょっと話があるんだけどさ…」


そう切り出した奈津子に、由佳は息を呑んだ。