嘘つきなポーカー 1【完】



―――…。

12月31日、大晦日。

由佳は家で1人、佇んでいた。

礼子は相変わらず、どこかに出掛けていて居ない。

以前はたまに家に帰ってきていた礼子も、最近は全く姿を見せなくなっていた。

だけどそんなことにはもう慣れてしまっていた由佳は、気にしていないどころか、顔を見ずに済んでラッキーだと思うようにすらなった。


由佳は1人、年末の特番をぼーっと眺めていた。

あのクリスマスイブ以来、由佳は何だかぼーっとすることが多くなった。


それはきっと、あの日見た奈津子と薫のキスシーンと、そして薫の意味不明な行動のせいだ。

幸いなことに薫は年末年始は実家のアメリカに帰るらしく、由佳は薫と関わることなく済んだが、それでもあの日以来、由佳の心にはモヤモヤとしたものが渦巻いたままである。