3人が奈津子の存在に気付いたのは、由佳の目の前に奈津子が立ち塞がった時だった。
クラス中の人が、今にも喧嘩を始めそうな2人を見つめている。
華代と薫も、訝しげに奈津子を睨みつける。
そんな2人をよそに、由佳は奈津子に向かって優しく微笑んだ。
「…おはよ。」
奈津子がぶっきらぼうに言った。
「おはよう、遠藤さん。」
由佳もそれに応えると、クラス中がざわついた。
当然だ。
ついこの間まで、いじめっ子といじめられっ子の関係だったのだから。
案の定、薫と華代も、由佳の目の前で目をぱちくりさせている。
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