嘘つきなポーカー 1【完】



由佳は奈津子のもとに歩み寄った。


全身擦り傷だらけになり、制服も乱れていて、それは痛々しい姿だった。


「…立てる?」


由佳は手を差し出した。


奈津子は起き上がり、由佳の手に触れようとした。

だが触れるか触れないかのところで、由佳の手を振り払った。


「もう…何なのよ…意味分かんない!」


奈津子は叫んだ。


「どうして私なんか助けるのよ!あんたに散々酷いことしてきたじゃない!」

「…うん。」

「あの時だって、どうして薫から私を庇ったのよ!あんたなんて…大嫌いだったのに!」


奈津子は涙目になりながら叫んだ。


「いつも無関心だったくせに…こんな時だけ私を助けるなんて卑怯よ!どれだけ借りを作らせるつもり!?」

「…うん。」

「あんたなんて…あんたなんて…」