由佳は奈津子のもとに歩み寄った。
全身擦り傷だらけになり、制服も乱れていて、それは痛々しい姿だった。
「…立てる?」
由佳は手を差し出した。
奈津子は起き上がり、由佳の手に触れようとした。
だが触れるか触れないかのところで、由佳の手を振り払った。
「もう…何なのよ…意味分かんない!」
奈津子は叫んだ。
「どうして私なんか助けるのよ!あんたに散々酷いことしてきたじゃない!」
「…うん。」
「あの時だって、どうして薫から私を庇ったのよ!あんたなんて…大嫌いだったのに!」
奈津子は涙目になりながら叫んだ。
「いつも無関心だったくせに…こんな時だけ私を助けるなんて卑怯よ!どれだけ借りを作らせるつもり!?」
「…うん。」
「あんたなんて…あんたなんて…」

