そう言えば夏休みの前日、由佳は孤児院に入っていく奈津子の姿を目撃した。
その時は不思議に思ったものの、その後すっかり忘れていた。
まさか奈津子が孤児院で育ったなど、考えもしなかった。
「昔、笠原由佳のどこがムカつくの?って聞いたことがあったんだよ。あいつ何て答えたと思う?」
「……。」
「“私に無関心なところ“だって。」
和也はそう言うと、悲しそうにフッと笑った。
「あいつ、あんなんで結構傷付きやすいタイプでさ。色々過去を引きずってるんだと思うよ。」
「……。」
「本当はお前と仲良くしたいんじゃないかな。でもあいつ、素直じゃねぇからさ。」
「……。」
「お前も色々ひどいことされてきたと思うけど、だけど、奈津子のこと許してやってくれたら俺は嬉しい。」
和也は呟いた。

