「…あいつって、不器用だけど悪い奴じゃないんだ。」 和也は、ポツリと呟いた。 「ひどい仕打ちを受けてきたお前の前でこんなこと言うのもあれだけど、あいつ、お前のこと本当は嫌いじゃないんだと思う。」 「…どうしてさ。」 「あいつは多分、怖かったんだよ。あまりに奈津子に無関心なお前がさ。」 「どういうこと?」 すると和也は、儚げな瞳で遠くを見つめながら話を始めた。 「あいつ、親が居ないんだ。小さい時に育児放棄されて、ずっと施設で育ってきた。」 由佳は言葉に詰まった。