暫く沈黙が続いた。 話したいことは山ほどあったが、由佳はどういうわけか気まずくて言葉があまり出てこないのだ。 松本先生から、薫の過去の話を聞かされたからだろうか。 「お前、大丈夫だったのかよ。」 沈黙を破ったのは薫だった。 「え…?」 「怪我とかしなかったのかってことだよ。」 「うん、私は別に大丈夫…」 すると薫は遠くを見つめながら呟いた。 「…俺のこと、嫌になったか?」 「え…どうして?」 「もう知ってんだろ?俺の過去のこと。」 「…うん、聞いた。」 由佳は呟いた。