嘘つきなポーカー 1【完】



その時、病室のドアをノックする音が響いた。


「お邪魔します。」


ゆっくりと扉が開き、入ってきたのは由佳だ。


「お、早速お見舞いに来てくれたのか。良かったな、薫。」


松本先生がそう言うと、薫は不機嫌そうに目をそらした。

松本先生はそんな薫を見て困ったように笑うと、由佳しか来ていないのを見て不思議そうに尋ねた。


「あれ、華代ちゃんは?」

「誘ったんですけど、今日は用事があるみたいで。」

「そうなんだ。残念。じゃ、先生はこのへんでおいとましようかな。」

「えっ、先生そんな…」


しかし松本先生は由佳の言葉を聞く様子もなく、何故か楽しそうに病室を出ていってしまった。