「そしてそれから暫くして、細谷恭平からの転校の申し出。これはきっと何かが始まるんだろうという気はしていたよ。」
「だったら何で言わない?」
「言うべきじゃないと思ったからだよ。」
「…でも、事が起こってからじゃ遅い。実際、今回笠原を巻き込むことになった。」
「…だから事前に忠告しろ、と?」
「あぁ。」
すると松本先生は首を横に振って言った。
「それは出来ないね。俺は常にフェアな存在で居たい。細谷くんだって、きっと何か強い思いがあってわざわざ武城高校まで来たんだろうしね。」
「……。」
「細谷くんと杉崎くん、今日で学校を自主退学したよ。昨日の件は学校にはバレていないけどね。」
松本先生の言葉に、薫は驚いた表情を見せた。
「細谷くんの思いも、何故彼が退学を申し出たのかも、お前が1番知ってるんじゃないのか?」
「……。」
松本先生の言葉に、薫は黙って俯いた。

