「薫がこんなにも他人に興味を示すなんて珍しくてね。本当にあいつは氷のような心の持ち主だったから。君が知らず知らずのうちにそれを溶かしてるんだろうね。」
「…別に今でも氷ですけど。」
「昔の薫を知ってる人が見たら今の薫は考えられないよ。」
「…そうですか。」
「あいつ、あんなんで不器用だからさ。他人には言わないけど、きっと色々抱えてんだよ。弟みたいなもんだから俺も心配なんだよ、あいつのこと。」
松本先生はそう言うと、また思い出したように笑い始めた。
「それにしても、犬猿の仲って…ぷぷぷ…あはははははは!君って本当に面白いね。」
由佳には一体何が面白いのか理解できなかった。
松本先生とは全く笑いのツボが合わなさそうだ、と由佳はこの時思った。

