案外真面目に答えたのにな、と由佳はむすっとした。
松本先生はそんな由佳をよそ目にひとしきり笑って、ようやく落ち着いたと思うと、静かに言った。
「最近薫の表情が変わったんだよ。おそらく、君と出会ってからね。」
「え…?」
「昔の薫は何だか人間味がなかった。感情的になることもほとんど無かったし、他人になんて興味がなかった。」
「……。」
「だから俺は最初、林間学校で薫が遭難した女の子を助けにすごい勢いで走っていったって聞いて、耳を疑ったよ。」
由佳はそれを聞いて、山で薫が助けに来てくれた日のことを思い出した。

