「…それにしても、どうして華代はここが分かったの?」

「…遠藤さんが教えてくれたの。」


華代の口から出た意外な名前に、由佳は驚いた。


「…遠藤奈津子が?」

「うん、由佳ちゃんがここに拐われたと思うって、私と小野寺くんに教えてくれた。私たち、すぐに向かったの。」


すると、華代の表情が怯えたような表情に変わった。


「ここに着いた時、沢山の怖い男の人が建物を取り囲んでて…私達の姿を見るや否や、一斉に襲い掛かってきたの。」

「……。」

「だけどね、小野寺くんすごく強くって。あんなに大人数居たのに、小野寺くんが全員倒してしまった。」


由佳は、自分を助けに来た時の恐ろしく豹変した薫の姿を思い浮かべた。


「その時、由佳ちゃんが小野寺くんの名前を叫ぶ声が聞こえた。小野寺くんは目の色を変えて、声が聞こえた方に物凄い勢いで走っていってしまった。」


華代はそう言うと、泣きそうな顔で続けた。