――――…。


由佳は松本先生の後ろについて歩いていた。

一体どこへ向かっているのか、松本先生は何も話さない。

聞きたいことは山ほどあったが、松本先生の背中が「今は何も話しかけるな。」と語っているようで、由佳は言葉をぐっと飲み込んだ。


数分ほど歩いた後、松本先生は足を止めた。

そして由佳の方を振り向くと、ある方向を指差した。


由佳がその方向に目をやると、そこには華代の姿があった。


「華代…?」

「由佳ちゃん!」


華代は由佳の姿を見るや否や、由佳のもとに駆け寄り、由佳に思い切り抱き着いた。


「大丈夫?怪我はない!?」


由佳がこくりと頷くと、華代は安心したようにわあっと泣き出した。


「ごめんね由佳ちゃん…私のせいで…っ」

「ううん、謝らなきゃいけないのは私のほう。ごめんね、華代…。」


由佳は華代をぎゅっと抱き締めた。