「あぁ、ちょっと転んじゃってね。」 平静を装いながらそう言うと、由佳は呆れたように笑いながら言う。 「恭ちゃん、おっちょこちょいだね。消毒してあげるね。」 恭平は優しく手当てをしてくれる由佳をじっと見つめていた。 華奢な体、小さな手。 それは今にも壊れてしまいそうだった。 「どうしたの?」 じっと見つめる恭平に、由佳が不思議そうに尋ねる。 「どうしたら由佳を守ってやれるか考えてた。」 「私は今のままで十分だよ?」 笑いながらそう答える由佳を、恭平は思い切り抱き締めた。