「まあ、それなりに。」
恭平が答えると、中瀬は恭平の前で両手を合わせて言った。
「頼むっ!お前の力が必要だ。」
「…何?」
「俺らのグループ、今日隣街のグループと喧嘩なんだよ。」
「嫌だよ。」
恭平が冷たくそうあしらっても尚、中瀬は引き下がろうとしない。
「最近俺らのグループ、負けっぱなしでさ。」
「知らないよ、そんなこと。僕を巻き込まないで。」
「でも新しく向こうのグループに入ってきた奴がすげー強いんだよ。あいつが居たら全然勝てねぇ。」
「……。」
「でもお前が居たら勝てるかもしんねぇ。だってお前、すげー強いんだろ?」
中瀬のその言葉に、無関心を決め込んでいた恭平の眉がぴくりと動く。
「そいつ、どのぐらい強いの?」
恭平が尋ねると、中瀬は答えた。
「あぁ、もう相当だよ。なんでも1回も負けたことがないらしい。」
「…ふーん。」
恭平は呟いた。

