だけどそれも自分の前だけは違うこともまた実感していた。 由佳は恭平の前でだけ、色々な表情を見せる。 恭平はそんな由佳が愛しかった。 由佳は弱い。 何にも動じないように見えて、本当は強がりな弱い子だった。 だけどいつも他人に頼ろうとしない。 いつも1人で抱え込んで、「大丈夫。」と嘘をつくのだ。 幼い頃から由佳と一緒に過ごしてきた恭平は、由佳のそんなところも全部知っていた。 だからこそ、そんな由佳を守ってあげることこそが自分の役割だと、幼いながらに感じていた。