フードの男は由佳を抱えたまま見事に地面に着地した。
そして辺りを警戒するようにキョロキョロと見回し、誰も周りに居ないことを確認すると、ゆっくりと由佳を地面に下ろした。
「あの、ありがとうございます。足、大丈夫ですか?」
由佳はフードの男に尋ねた。
すると、フードの男はゆっくりフードを外して答えた。
「ありがとう、大丈夫だよ。」
由佳はその人物の顔を見て、目を見開いた。
「松本…先生…?」
そこには、頭を掻きながらばつが悪そうに笑う、校医の松本先生の姿があった。
「どうしてですか…?」
「ははは…詳しい説明はここじゃないところでしよう。もう1人説明しなきゃいけない人が居るしね。」
松本先生はそう言うと、由佳を建物から少し離れた場所まで案内した。