嘘つきなポーカー 1【完】



「小野寺薫!!!」


由佳は目を見開いて叫んだ。

薫の脇腹から、真っ赤な血がぽたりぽたりと滴り落ちる。


「…はははは…ふははははは!バカな奴め!だから動くなと言ったのに!」


そう言って狂ったように笑う恭平の表情には、明らかに余裕がない。


「負け知らずの小野寺薫くんも、今日は勝ち目がないみたいだね。」

「……くそが。」

「その傷じゃ、まともにやり合えないだろう。」

「……」


薫は唇を噛み締めたまま恭平を睨み付けた。


「大人しく引けばよかったのに、バカなことをするからだ。」


恭平は引きつった笑みを見せながらそう言った。