「小野寺薫!!!」
由佳は目を見開いて叫んだ。
薫の脇腹から、真っ赤な血がぽたりぽたりと滴り落ちる。
「…はははは…ふははははは!バカな奴め!だから動くなと言ったのに!」
そう言って狂ったように笑う恭平の表情には、明らかに余裕がない。
「負け知らずの小野寺薫くんも、今日は勝ち目がないみたいだね。」
「……くそが。」
「その傷じゃ、まともにやり合えないだろう。」
「……」
薫は唇を噛み締めたまま恭平を睨み付けた。
「大人しく引けばよかったのに、バカなことをするからだ。」
恭平は引きつった笑みを見せながらそう言った。

