見たこともないような恐ろしい薫の姿に、由佳は言葉を失った。
「君なら来ると思ってたよ。」
恭平は由佳の首もとにナイフを突き付けたまま口角を上げた。
「それ以上変な真似すると、この子がどうなるか分かってるよね?」
「……てめぇ。」
恭平の言葉に、薫は低い声で唸った。
「それにしても、さすが負け知らずと言われただけあるな。僕の家来たちを1人で全滅させてしまうなんてね。」
「雑魚いんだよ。」
薫はそう言って、顔に飛んだ返り血を手で拭った。
「でも小野寺くん。残念だけど君はここでゲームオーバーだよ。由佳を殺されたくなければ大人しくここから去ることだね。」
「…っ」
薫は歯を食いしばった。

