「…呼んでも誰も来ないよ。この建物の回りは僕の手下たちが護っているからね。」 「……っ」 薄気味悪くそう言って笑う恭平に、由佳は奈津子の言葉を思い出した。 ―― あの人、結構ヤバい人だから。 奈津子の言葉が由佳の中で現実味を帯びていくような気がした。 「ねぇ由佳。僕を好きだと言いなよ。」 恭平は由佳の目を見つめながら、静かな口調でそう言った。 「…嫌だ。」 「君は僕が好きだっただろ?」 「私が好きだったのは昔の優しくて真面目な恭ちゃんであって、今の恭ちゃんじゃない。」