由佳が教室に入ると、クラスの人全員が由佳のほうを見た。
あれほど一緒に居たはずの3人が一緒に居ないというのは、クラスの誰が見ても不思議に思うだろう。


由佳は一瞬、薫と華代と目が合う。

だけど2人は由佳に挨拶をすることもなく目を伏せた。

由佳は黙って自分の席につく。


昨日あんな現場を見られてしまったのだ。
無理もない。

だが由佳はもうこれ以上何かを言う気もなかった。

あのシチュエーションは決して自分から望んだわけではなかったが、あんな状況を見られて、弁明しようと思うこと自体間違っている。
例え誤解であっても、多少なりとも由佳にも責任があるのだ。


それにもう、由佳には関係のない話だ。

華代と薫には申し訳なかったが、もう由佳は道を引き返すことに決めたのだ。


礼子の言うことは正しかった。


由佳はクラスの人からの視線に耐えかねて、教室を出た。