嘘つきなポーカー 1【完】




帰り道、由佳と華代は何となく公園に立ち寄った。
華代は近くの自販機で缶ジュースを買って、由佳に手渡した。


「はい。」

「ありがと。」


由佳と華代はブランコに隣同士腰かけた。


暫く2人の間に無言の時間が流れた。

きっと華代は何と切り出せば良いのか分からないのだろう。


無理もない。
礼子の母親とは思えないあんな姿を見たら、普通の人間ならかける言葉も見つからないだろう。


「なんかごめん。」


由佳は呟いた。


「…うちのお母さん、昔から常にあんな感じなんだよね。」


すると華代も口を開く。


「私のほうこそ、ごめん。お母さんにあんな口聞いちゃって。」


「ううん、私のためにあんなこと言ってくれて、嬉しかったよ。」


由佳がそう言うと、華代は照れ臭そうに笑った。