暫く3人はそこに立ち止まっていた。
沈黙を破ったのはさっきまでずっと黙っていた薫だった。
「あ、俺忘れ物したかも。先帰ってて。」
「え?取ってくるまで待ってるよ?」
華代が不思議そうにそう言うと、薫は付け足す。
「いいよ。2人で先帰ってて。」
「そっかぁ。」
華代は残念そうに呟いた。
薫は「じゃ。」と言い残すと、先程来た病院の廊下を再び戻って行く。
そして薫の姿が見えなくなると、華代は由佳に向かって言った。
「2人で先帰ろっか。」
華代は何とも言えないような複雑そうな顔をしながら微笑んだ。
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