嘘つきなポーカー 1【完】



暫く3人はそこに立ち止まっていた。

沈黙を破ったのはさっきまでずっと黙っていた薫だった。


「あ、俺忘れ物したかも。先帰ってて。」

「え?取ってくるまで待ってるよ?」


華代が不思議そうにそう言うと、薫は付け足す。


「いいよ。2人で先帰ってて。」

「そっかぁ。」


華代は残念そうに呟いた。


薫は「じゃ。」と言い残すと、先程来た病院の廊下を再び戻って行く。
そして薫の姿が見えなくなると、華代は由佳に向かって言った。


「2人で先帰ろっか。」


華代は何とも言えないような複雑そうな顔をしながら微笑んだ。