「あなた、細谷くんといつも一緒に居るよね?細谷くんのことが好きなの?」
小学校からの帰り道、由佳は上級生の女の子の集団に囲まれた。
「……。」
「黙ってるってことは、好きなんだ!」
「……。」
「ちょっと特別だからって、いい気にならないでよ。年下のくせに生意気!」
「……。」
由佳は黙っていることしか出来なかった。
こんな時、どんな言葉を返せばいいかよく分からなかったのだ。
「君たち、何してるの?」
聞こえてきたのは、聞き慣れた声。
由佳が大好きな、優しい声。
「由佳のことをいじめないでくれるかな?」
「細谷くん!違うのよ!ちょっと話してただけ…。」
そう言い残して散り散りに去っていく上級生たち。

