嘘つきなポーカー 1【完】



「あなた、細谷くんといつも一緒に居るよね?細谷くんのことが好きなの?」


小学校からの帰り道、由佳は上級生の女の子の集団に囲まれた。


「……。」

「黙ってるってことは、好きなんだ!」

「……。」

「ちょっと特別だからって、いい気にならないでよ。年下のくせに生意気!」

「……。」


由佳は黙っていることしか出来なかった。
こんな時、どんな言葉を返せばいいかよく分からなかったのだ。


「君たち、何してるの?」


聞こえてきたのは、聞き慣れた声。

由佳が大好きな、優しい声。


「由佳のことをいじめないでくれるかな?」

「細谷くん!違うのよ!ちょっと話してただけ…。」


そう言い残して散り散りに去っていく上級生たち。