嘘つきなポーカー 1【完】



――― …


物心ついた時から、彼はいつも由佳の傍にいた。

いつ、どんな風に出会ったかなんて覚えていないぐらい、ずっと幼い頃から。

近所に住んでいて、母親同士が昔からの知り合いだった。
だからきっと、言葉も分からない時からずっと一緒だったんだろう。


由佳にとって恭平は、お兄ちゃんみたいな存在だった。


「由佳。」


優しい声が、優しい瞳が、差し伸べる頼りない細い腕が、恭平の全てが、由佳の唯一の心の支えだった。

毎日のように、由佳の隣には恭平がいた。


母親に愛されない由佳の心の隙間を、いつも恭平が埋めてくれた。



「由佳には僕がいるから。」

「うん…」

「由佳のママが由佳のことを好きじゃなくても、僕がいるから。」

「恭ちゃん…、私たちずっと一緒?」

「うん、僕が一生由佳を守るよ。」



幼い頃の約束を、由佳はずっと覚えている。