嘘つきなポーカー 1【完】



「木村が知ったらどう思うかな。」

「……。」

「俺が止めなければキスしてただろ?」

「……っ。」

「邪魔が入ってガッカリした?」

「違う…」

「あいつとキスしたかったんだろ?」

「違う!」


由佳は叫んだ。

また1粒、涙がぽろりと零れた。


「そんなんじゃ、ないから……」

「………」

「だから…もう何も言わないで…」


薫は寂しそうな顔をしながら由佳の泣き顔を見つめた。


「んで…」

「…?」

「なんであいつのことでは泣くんだよ…」

「……。」

「いつも意地張って絶対弱いとこなんて見せねぇくせに、なんでいつもあの金髪野郎のことになると、そんな悲しそうな顔をするんだよ。」

「……。」

「そんなにあいつが好きなのかよ…」

「ちが…」


その瞬間、由佳の視界が真っ暗になった。
カラン、と音を立てて松葉杖が床に倒れた。

一瞬、何が起きているのか分からなかった。

ふわりと甘い匂いが由佳を包んだ。