「由佳はああいうイベントとか、興味なさそうだもんね。」
由佳はその声の主のほうへ自然と足を進めていた。
「昔から、そういうとこあったし。」
由佳が知っている声よりは、少し低くて太くなった声。
だけどその独特の諭すような話し方は、昔と変わらなかった。
「僕は由佳のこと、何でも知ってるから。」
「恭…ちゃん…?」
「久しぶりだね、由佳。」
由佳の目の前で妖艶な笑みを浮かべる金髪の美少年は、由佳が知っている姿とはまるで違っていた。
高くなった身長、派手になった髪色、いくつも開けられたピアス。
「どう…して…?」
「つい最近ここに転校してきたんだ。由佳ってば、いつになったら気付いてくれるのかと思ってたよ。耐えきれずに自分からバラしちゃった。」

