嘘つきなポーカー 1【完】



「ま、全然ありがたくも何ともないですけど。」


由佳はドーナツを頬張りながら呟いた。


「あ?何か言ったか?」


目の前でブラックのアイスコーヒーを飲みながら頬杖をつく薫は尋ねる。


「別に何も。」


由佳はそう言って、ドーナツを頬張る。

実は由佳は甘いものには目がないのだ。
しかも今日は薫の奢りだ。
遠慮などしていられない。


「小野寺薫は食べないの?」


アイスコーヒーだけしか注文していない薫に、由佳は尋ねる。
すると薫は当然のように答える。


「あぁ、俺甘いもの苦手だから。」

「じゃあなんで誘ったの。」

「うーん、何となく?」


薫はそう言って、頬杖をつきながら無心でドーナツを頬張る由佳の姿を眺める。