「ま、全然ありがたくも何ともないですけど。」
由佳はドーナツを頬張りながら呟いた。
「あ?何か言ったか?」
目の前でブラックのアイスコーヒーを飲みながら頬杖をつく薫は尋ねる。
「別に何も。」
由佳はそう言って、ドーナツを頬張る。
実は由佳は甘いものには目がないのだ。
しかも今日は薫の奢りだ。
遠慮などしていられない。
「小野寺薫は食べないの?」
アイスコーヒーだけしか注文していない薫に、由佳は尋ねる。
すると薫は当然のように答える。
「あぁ、俺甘いもの苦手だから。」
「じゃあなんで誘ったの。」
「うーん、何となく?」
薫はそう言って、頬杖をつきながら無心でドーナツを頬張る由佳の姿を眺める。

