その後暫くして、華代は授業に戻ると言って保健室を去っていった。
由佳がどうしようかと考えながら1人でぼーっとしていると、保健室のドアが開いた。
「もう手当ては終わったか?」
現れたのは薫だった。
「あぁ、うん。」
「お前の分も早退届出しといたから。今日はもう帰んぞ。」
薫はそう言って、由佳の手を引く。
「へ?」
「へ?じゃねーよ。一緒に帰るって言ってんだろーが。」
イライラしたようにそう言う薫に、由佳は再び聞き返す。
「私とあんたが?何で?」
「何で?じゃねーよ。そんなに怪我してんだから1人で帰れねぇだろーが。」
「いやいや、帰れるし。」
「可愛くねぇ奴だなー。そこはごちゃごちゃ言わないで大人しく帰るって言っとけよ。」
薫はそう言って、教室から持ってきたであろう由佳の荷物を持って「行くぞ。」と由佳の目を見た。
何を言っても無駄だと思った由佳は、黙って薫の後についていくことにした。

