――…。
話を終えると、華代は俯いた。
由佳は微かに思い出した。
そう言えば隣の席で、何日も前から手帳を眺めながらずっとソワソワしている女の子がいたことを。
そしてその子が掃除当番を頼まれた時、絶望的な顔をしていたことを。
「私は笠原さんに守ってもらったのに、自分を守るために笠原さんを騙してしまったの…。」
「……。」
「私は、最低な人間です。私もいじめられる辛さを知ってたはずなのに、私は笠原さんを救おうとしなかった。」
「そんなことないよ。だって今こうして正直に全てを話して、私を守ろうとしてくれているじゃない。」
「それは…、小野寺くんに言われたからです。」
華代のその言葉に、由佳は驚いて尋ねた。
「小野寺薫が?」
すると華代は、薫に自分がしていることがバレたこと、薫に言われたことを全て由佳に話した。

