華代がそんな葛藤と闘っていた時だった。
「小林さん、今日掃除当番だよ。」
玲香に声をかけた1人の女の子がいた。
クラスの地味な女の子、笠原由佳だ。
由佳は華代の隣の席の子だが、1度も話したことはなかった。
なんだか話しかけづらいイメージがある。
噂では小野寺薫の次に成績が良いと聞いた。
「お、小林掃除当番か。じゃあこのゴミ捨ててきて。」
担任の渡辺先生が由佳の言葉を聞いて玲香にゴミ箱を渡した。
断れない空気になってしまった玲香は、チッと舌打ちをして、ゴミを捨てに行った。
助かった――…。
華代は心の中で安堵のため息を吐いた。

