嘘つきなポーカー 1【完】



華代がそんな葛藤と闘っていた時だった。


「小林さん、今日掃除当番だよ。」


玲香に声をかけた1人の女の子がいた。

クラスの地味な女の子、笠原由佳だ。
由佳は華代の隣の席の子だが、1度も話したことはなかった。
なんだか話しかけづらいイメージがある。

噂では小野寺薫の次に成績が良いと聞いた。


「お、小林掃除当番か。じゃあこのゴミ捨ててきて。」


担任の渡辺先生が由佳の言葉を聞いて玲香にゴミ箱を渡した。

断れない空気になってしまった玲香は、チッと舌打ちをして、ゴミを捨てに行った。


助かった――…。


華代は心の中で安堵のため息を吐いた。