嘘つきなポーカー 1【完】



「守ったんでしょう?遠藤さんのこと。」


華代は呟いた。


「あの時…小野寺くんが遠藤さんに殴りかかろうとした時、小野寺くんを止めたのは、小野寺くんのためだけじゃない。遠藤さんのためでもあったんでしょう?」

「いや、そんなつもり…」

「先生に口止めしたのも、遠藤さんのため?」

「いや…それは面倒くさいことを避けるためで……」

「どうしてそんなに優しい嘘つきになれるんですか?どうして自分の身を犠牲にして他人を守るんですか?ましてや自分のことを傷付ける相手なのに。」


華代は続けた。


「笠原さんがこんなにいじめられるようになったのも、元はと言えば私のせいです。」


華代は悲しそうな顔をした。


「笠原さんは無自覚なのかもしれません。だけど、私はあなたに救われました。」


そして華代は話し始めた。

それは高校に入学してまだ間もない、5月頃の話だった――…。