嘘つきなポーカー 1【完】



「さぁ、怪我の手当てをしようか。」


松本先生はそう言って優しく微笑んだ。
その笑顔はなんとも爽やかで、女子から人気があるのも頷けた。

「薫はちょっと出ていってあげてね。笠原さんも女の子だから。」

松本先生のその言葉に、薫は面白くなさそうに「分かったっつーの。」と言い残して、保健室から去っていった。


傷の手当てはとても痛かった。

怪我をしたところに消毒をしてもらう度に、ヒリヒリと痛んだ。
可笑しなことに、由佳よりも傍で見ている
華代のほうが痛そうな顔をしていて、由佳はなんだか少し笑えた。


「ほら、もうこれで大丈夫。」


全部の傷に消毒をし終わると、松本先生はそう言って微笑んだ。

由佳は消毒をするために脱いだYシャツを羽織ながら、「ありがとうございます。」とお礼を言った。


「それにしても、ひどい仕打ちだな。よく1人で耐えてきたね。」


松本先生の言葉に、由佳は答えた。


「大丈夫です。こんなぐらい、どうってことないですから。」


由佳のその言葉に、松本先生は少し困ったような悲しいような顔をした。