「さぁ、怪我の手当てをしようか。」
松本先生はそう言って優しく微笑んだ。
その笑顔はなんとも爽やかで、女子から人気があるのも頷けた。
「薫はちょっと出ていってあげてね。笠原さんも女の子だから。」
松本先生のその言葉に、薫は面白くなさそうに「分かったっつーの。」と言い残して、保健室から去っていった。
傷の手当てはとても痛かった。
怪我をしたところに消毒をしてもらう度に、ヒリヒリと痛んだ。
可笑しなことに、由佳よりも傍で見ている
華代のほうが痛そうな顔をしていて、由佳はなんだか少し笑えた。
「ほら、もうこれで大丈夫。」
全部の傷に消毒をし終わると、松本先生はそう言って微笑んだ。
由佳は消毒をするために脱いだYシャツを羽織ながら、「ありがとうございます。」とお礼を言った。
「それにしても、ひどい仕打ちだな。よく1人で耐えてきたね。」
松本先生の言葉に、由佳は答えた。
「大丈夫です。こんなぐらい、どうってことないですから。」
由佳のその言葉に、松本先生は少し困ったような悲しいような顔をした。

