「先生が上の先生たちに言っておくから!心配しないで!」
「あの…、それはやめてほしいです。」
由佳はそう言って俯いた。
「何で?怖がることはないんだよ。」
不思議そうにそう言う松本先生に、由佳は答える。
「違います。いいんです。言わないでくだ…」
「もしかして君は林間学校の時の……」
松本先生は由佳の言葉を遮り、由佳の右足にはめられたギブスを見てそう言った。
「そうか…そういうことか…。うん、分かった。黙っておくよ。」
松本先生は何かに納得したようにそう言った。
そして続ける。
「だけど黙って抱え込むのは良くない。何かあったらいつでもここに来なさい。先生は誰にも言わないから。」
「はい…ありがとうございます。」
由佳は答えた。
一体松本先生が何に納得したのかは分からなかったが、とりあえず黙っていてくれるだけで由佳にとっては有り難かった。

