嘘つきなポーカー 1【完】



「先生が上の先生たちに言っておくから!心配しないで!」

「あの…、それはやめてほしいです。」

由佳はそう言って俯いた。


「何で?怖がることはないんだよ。」


不思議そうにそう言う松本先生に、由佳は答える。


「違います。いいんです。言わないでくだ…」

「もしかして君は林間学校の時の……」


松本先生は由佳の言葉を遮り、由佳の右足にはめられたギブスを見てそう言った。


「そうか…そういうことか…。うん、分かった。黙っておくよ。」


松本先生は何かに納得したようにそう言った。
そして続ける。


「だけど黙って抱え込むのは良くない。何かあったらいつでもここに来なさい。先生は誰にも言わないから。」

「はい…ありがとうございます。」


由佳は答えた。

一体松本先生が何に納得したのかは分からなかったが、とりあえず黙っていてくれるだけで由佳にとっては有り難かった。