「大丈夫ですか!?」
華代は由佳のもとに駆け寄った。
華代は目に涙を溜めながら由佳を見つめた。
殴られたのは自分のほうなのに、と由佳は少し可笑しく思った。
「大丈夫。状況がよく分からないけど、私のこと助けてくれたんだよね?ありがとう。」
由佳がそう言うと、華代の目からはぼろぼろと涙が零れ落ちた。
本当に、よく泣く子だなぁ――…。
由佳はそう思ったが、少し嬉しかった。
今まで自分のために泣いてくれる人間など、1人も居なかったのだから。
きっとこの華代の様子からして、相当勇気を出したのだろう。
華代の両足はガクガクと震え、声もかすれている。
「笠原さん、血が…。」
由佳の膝から流れる血を見て、心配そうに華代は言う。
「あぁ、このくらい大丈夫。気にしないで。」
「ダメです!保健室に行かないと…」
「いいよいいよ、そんなの。保健室に行ったらまた先生に色々聞かれたりして面倒くさいし。」

