嘘つきなポーカー 1【完】




「大丈夫ですか!?」


華代は由佳のもとに駆け寄った。

華代は目に涙を溜めながら由佳を見つめた。
殴られたのは自分のほうなのに、と由佳は少し可笑しく思った。


「大丈夫。状況がよく分からないけど、私のこと助けてくれたんだよね?ありがとう。」


由佳がそう言うと、華代の目からはぼろぼろと涙が零れ落ちた。


本当に、よく泣く子だなぁ――…。


由佳はそう思ったが、少し嬉しかった。
今まで自分のために泣いてくれる人間など、1人も居なかったのだから。

きっとこの華代の様子からして、相当勇気を出したのだろう。
華代の両足はガクガクと震え、声もかすれている。


「笠原さん、血が…。」


由佳の膝から流れる血を見て、心配そうに華代は言う。


「あぁ、このくらい大丈夫。気にしないで。」

「ダメです!保健室に行かないと…」

「いいよいいよ、そんなの。保健室に行ったらまた先生に色々聞かれたりして面倒くさいし。」