嘘つきなポーカー 1【完】



「でも、無事で良かった…」


薫は胸がざわつくのが分かった。

この感情を言葉に例えろと言われても、薫は例えることができないと思った。

嬉しいような照れ臭いような、だけど悲しくて虚しいような、複雑な気持ちだった。


「笠原さ…」


薫がそう言って由佳のほうを見ると、由佳は目を閉じて寝息を立てていた。


「おい、寝てんのかよ。」


由佳から返事は返ってこない。


「無防備すぎだろ。」


薫は大きくため息をついて、呟いた。