薫に連れてこられたのは、河川敷のような場所だった。
薫はひょいと由佳を持ち上げると、河川敷の芝生の上に由佳を座らせ、その隣に自分も座った。
「…で、何でこんなとこに連れてきたの?」
由佳が不機嫌そうに尋ねると、薫は楽しそうに答える。
「言わない。」
「は?無理矢理連れてきてそれはないでしょ。」
「相変わらずごちゃごちゃうるせーな。」
「大体さ、あんたって本当自分勝手だよね。突然連絡よこさなくなったと思ったら突然現れてこんなところ連れてくるし、本当何考えてんのかさっぱり分かんな……」
ドーン!
由佳の言葉は、突然鳴り響いた大きな音によって掻き消されてしまった。
由佳が驚いて前を向くと、夜空には大輪の花火が上がっていた。
「やっぱここ、穴場ポイント。」
薫は満足そうにそう言った。

