あの突然の移動からだいぶ時間が経った。

朝のエレベーターホールでの会話は日課のようになっていた。

「おはよう~お二人さん」

「真理~おはよう。今日も綺麗ね」

「あら奥様には負けますわ」

「まだ独・身・で・す」

「もうすぐなんだから、いいじゃん」

「もう真理のばか。まだ私は奥様じゃなーい!」

なってバカ話を良樹さんと一哉さんが聞いて笑ってる

「黙ってたら綺麗なのにな」

「はぁー!何か言いました?」

「いえ何も。」

「これが私達なんです。ね真理。」

「そうかも」

そういって笑いながらエレベーターに乗った。

「最近明るくなりましたね」と一哉さんが耳元で小さな声で話してきた。

「おかげさまで・・・」ちょっと照れながら小さく返事を返した。

「よかった」この小さな声の会話もたまにあるようになった。

エレベーターが着いた。真理と加奈子はロッカールームへ行きながらも話をしている。

「あの笑った顔。昔よく見ましたよね。良樹さん」

「ああ。真理ちゃんのあの笑顔・・・だいぶ戻ってきたな」

「だといいですね・・・」

「ってお前まだ進展なしか?」

「はい。プラトニックですよ」

「そんなことを言うかお前が変わったな。」

「俺、変わりました?」

「女の力ってすげえなぁ」

二人も歩きながら会話をしていた