「一哉・・私」

「ああ、どうした?」

「今、涼介から聞いたことやねんけど・・」

「俺も親父から連絡があって・・今実家にいるよ」

「まいったね・・」

「ああ・・真理は大丈夫か?」

「うん。私は大丈夫。一哉・・どうする?籍だけ入れろって言われたの・・」

「俺も言われた・・真理のことを考えると、早めてもいい・・」

「これじゃ・・まるで政略結婚だね・・」

「真理・・ごめんな・・俺のせいで・・・」

「いいよ。そんなこと・・とりあえず、明日帰るわ」

「ゆっくりしろって言ったのにな、本当にごめんな」

「大丈夫。これからはいつでも帰れるし、今度は両親に来てもらうから」

「わかった・・じゃ ちゃんと話しろよ」

「OK。任せて。じゃ 」

電話を切った・・。


「涼介、ちゃんと話して、隠してること全部」

「・・・わかった。よう聞けよ」

「相手は新藤さん所と親密になりたい企業や。そこの令嬢が一哉君を気に入って
 何としても手に入れようとしてきてる。実際にうちの会社にも探りがあった。
 真理。お前が何かやられる前に何とかしたいんや。親父も同じこと思ってる。
 どうするか考えろ」

「・・・わかった」

「一哉の意見を聞いて返事するわ。朝一番の電車に乗って帰るから・・」

「真理、無理だけはやめるようにな。こっちのことはどうにでもなる」

「そうよ真理。お父さんに任せておけばいいから」

「ありがとう。父さん、母さん。私だって負けへんよ。明日・・必ず返事する
 それまでは黙ってみててお願いやから」

本気の顔になって言っているのがわかったのか後は誰も言わなかった。

結局、家族最後の夕食になってしまった・・。