~一哉Side~

結局、俺は真理さんに何も言えなかった・・・。

良樹さんはいとこだが、やっぱり尊敬する上司のままだった・・。

今日、彼女たちの来る前に話したこと・・・。


「優志のことだが・・・もういい思い出にしてあげないか。」


俺には意味が分からなかった。

良樹さんが優志の家族に会いに行ったことを聞かされた。

そこで言われたこと。

優志のこと忘れないでいてくれてありがとう。とお礼を言われたこと。

真理さんを優志の思い出から解放してほしい。

彼女の人生を優志のことで不幸にしないでほしい。


結婚できなかったことが申しわけないと言っていた。

彼女の第二の人生を歩ませてほしいと。

良樹さんは約束をしたらしい。

真理さんが優志に結婚の報告をできる日が来たら、また来ます。と


「一哉。お前、真理ちゃんを救えないか?」

「無理だ・・・できっこない」

「俺じゃ優志の代わりはできない」

「代わりじゃなくて、一人の男として・・・」

いとこの良樹さんの頼みでもそれだけは無理だ・・・。

「一哉。本当は優志よりも前から真理ちゃんのこと・・」

「ばれていたか・・・だからダメなんだ」

「そっか・・・」

「でも今はそばにいてあげてほしい。それだけでいい」

彼女に嫌がられている俺は、自身がなかった。