「真理ちゃん。優志が死んで何年?」

「5年かな・・・」

「そう5年だね。まだ5年?もう5年?
 みんなそれぞれ取り方が違うよね?
 感情があるだけ違うよね。
 僕は真理ちゃんのあの元気に笑っている姿、忘れてないよ。
 会社の中で、イキイキした笑顔。加奈子と歩いている姿。今でも忘れない。
 人気のあった二人だからね。
 優志がうらまやしかった。あんな素敵な女性が彼女って・・・」

「良樹さん知ってたの?」

「優志から聞いてた。ほんとお似合いだったと思うよ」

「でも優志を失ってからかの真理ちゃんは。まるで氷のようだった。
 あそこまでショックを受けている真理ちゃんを見てられなかった。」

(私が気づかなかった・・・)

「そこからの真理ちゃんは変わってしまったね」

「・・・・・」

「この間、久しぶりに優志の墓参りに行ってきた。僕は優志の両親に会いに行った。
 会社関係の人が行ったら追い返されると思った。
 そしたら優志の両親は何も言わなかった。
 あの子の運命なんですといってたな。反対に思い出してくれてありがとうって言われたよ。
 僕の幸せを祈ってますって
 それから・・真理さんの幸せも祈ってますって・・・」

(覚えていてくれたんだ・・・お父さんとお母さん・・・)

自然と涙が溢れだす・・・止めたくても止まらない・・・

「僕はあの事故から逃げた・・・最低の上司だな・・・
 忘れようとした・・できなかった・・・
 時間は止まらない。止められない。いつまでもそこには止まってはいられない
 みんな前へ進もうとしてるんだよ

 真理ちゃん。進もう。少しでもいいから
 もう優志もあの空から真理ちゃんのこと応援してると思うよ」

「良樹さ・ん・・・」

場所をわきまえず、わぁーと声をあげて泣いた。個室になっていたので、

周りには気づかれなかった。

加奈子も一緒に泣いていた。

「もう。良樹さん。真理を泣かせないでよ・・・私も泣いちゃったでしょ・・」

「一哉、お前も。もういいんじゃないか。そろそろ自分の道を歩けよ」

「・・・ああ」

目を真っ赤にして遠くを見つめていた。

(優志・・・あなた知っている人はみんなすてきな人達だね・・)