この際、夏に向けてバッサリ切って少しくらい色を入れてもいいんじゃないかな、なんて思い
「はい、わかりました。宜しくお願いします。」
そう、東さんに返事をした。
あたしの返事に
眉を下げて優しく笑った東さんは二冊、本を持って
「きっと、今以上に可愛くなりますよ。」
と白い歯を見せる。
その言葉に、自分でもわかるくらい顔に熱がこもった。
…可愛い、だなんて東さんも言うんだ。
素直に嬉しい、と感じる自分に恥ずかしさと喜びを隠しながら
カウンターで、東さんに本の貸し出し手続きをする。
「それじゃ、また明日。」
「はい、明日。」
ヒラヒラと手を振って図書館を後にする彼の後ろ姿に、小さな恋心をときめかせて
残りの仕事に取り掛かった。

