君と歩く未知

 アタシは焦ってカズくんに言った。
「あ、あの、えっと…今日はアタシ風邪ひいてるし…ちょっと…」
カズくんは首をかしげた。
「ちょと待って弥生、話が噛み合わなくなって来たよ。…弥生、もしかして妄想した?やらしー。風邪ひいたら、大人しくベッドで寝るのが普通だろーが」
アタシはきょとんとして、頭の中で事態を整理した。
そして自分の誤解に気が付くと恥ずかしくなって、ベッドに飛び込んで布団に顔を埋めた。
カズくんはそんなアタシにクスクス笑いながら近寄って来て、ベッドの傍に座り込んだ。
「やーよーいー、聞こえますかー?」
カズくんは笑みを含んだ声で布団の中のアタシを呼んだ。
「聞こえなーい!」
アタシはそう言って布団の隙間からカズくんを見た。
するとカズくんとその隙間で目が合ってしまった。
「見つけた」
カズくんはそう言って笑う。
アタシもなんだかおかしくなってしまって、布団から顔を出して笑った。
「もう、別にいいやー。アタシってやらしーよね!」
カズくんはケラケラ笑ってアタシに聞いた。
「なぁ、弥生。ホントは今日どうしたんだよ?風邪なんて嘘だろ?」
アタシは、笑い顔をやめてカズくんを真剣な目で見つめた。
「…最初からわかってた?」
カズくんはアタシの頭を撫でながら頷いた。
「ってゆーか、弥生はいつも風邪ひいても学校来るのにおかしいなって思ってさ。何があったわけ?」