君と歩く未知

「お父さんが…お皿で…お母さんのこと殴ったの?」
お父さんは、目を見開いて首を縦に振った。アタシは泣きながら怒鳴った。
「人殺し!あんたなんて…あんたみたいなどうしようもない人間、もうアタシのお父さんなんかじゃない!どうして!?なんでこんなことになるの!?…人殺し…もうアタシの前に現れないで…早く、この家から出て行ってよ…」
アタシはそう言うとお母さんに抱きついて泣いた。
お父さんなんて最初からいなかったら良かったんだ。
お父さんなんて…
「すまなかった…弥生、お母さんを頼む」
お父さんはそう言ってゆっくりと玄関へ向かって歩き始めた。
バタン…とドアの閉まる音がして、マンションの廊下をお父さんの靴音が響いているのがわかった。
遠くからあたしの家を目指して走ってきている救急車の音がする…。